後輩くんは俺様王子
自然と、聖也くんが好きだと思った。
7歳の時に会って以来、ママとその友達は都合が合わず、聖也くんとは会っていない。
でも、忘れたことなんてなかった。
家にあるアルバムをいつも見て、聖也くんどんな風になってるのかなぁ……って想像して。
それくらい、聖也くんのことを考えてしまうんだ。
これを恋なのか、と問われたらそれはよくわからない。
何度か恋もしてきて、数は少ないけれど彼氏もできた。
そのときは純粋に彼のことが好きだったし、彼のことを考えてた。
でもやっぱり、聖也くんのことは忘れたことがなくて。
だから、もしかしたらこれは恋なのかもしれない。
きっともう、出会うことのない君を想像し続けるんだろう。
「………み、南美!バス着いたよ!!」
「………え、あ!降りますーっ!!」
柑奈ちゃんに呼ばれて、慌ててバスを降りる。
「南美、もしかしてまた彼のこと考えてた?」
「あ、うん……」
私はコクンと頷き、それから言葉を続ける。
「……また会えたらいいのになぁ、って考えちゃうんだよね」
聖也くんは私のことなんて、きっと忘れているだろう。
でもそれでもいいんだ。
ただ、私が聖也くんに会いたいだけだから。