カタリ カタリ
私はしまったという表情をしながら、男をチラと見る。

するとーーなんと男はーー

笑いをこらえ震えていた。

………ええーー

「あの……」

私が小さく声をかけると、男はハッとして咳をした。

「すまん……女のあんな声聞いた事がなかったから…」

かなり笑いをこらえているんだろう。
声が少し震えている。

ああ……

こっちが申し訳ない……

「私こそごめんなさい……びっくりしたよね…?」

「ああ……そりゃあ、お前みたいな綺麗な女があんな声だせばな」

「……」

再び綺麗、と言われ、私は何て返せばいいのか言葉を迷った。

「お前、気にいったよ。……また来る」

そう言って男は立ち上がった。

「……もう帰るの」
私が聞く。
すると男はまたもや可愛い顔して言った。
「ああ。あまり遅くなると怒られるからな……次はお前に会いにくるよ」

その一言が、何故か人生でもらったどんな言葉よりも嬉しかった。
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