心底、不思議。~毒舌カナタとひねくれみーちゃん~
…………あ、やべっ。
唇の端から出かけたよだれを(しょっぱなから汚くてごめんなさい)拭って、あたしはあわてて姿勢を正す。
特定の政党だの思想だの、教育基本法?だのと、耳慣れない訳わかんない単語ばっかり並んでたから、一瞬、意識とんじゃったよ。
先生の話きいてても、今日は珍しく眠くならなかったのに。
あいつ、ほんっとーに空気読めない奴だな………。
クラスの全員から好奇の視線をびしばし向けられていることにも全く気づかずに、あいつは目の前の先生だけをじっと凝視している。
「………そ、そうか。
そう思われたなら、た、確かに先生が悪かった。
えー、これからは気をつけるよ」
先生は鼻をこすりながら、ごほんと咳払いをした。
「はい、そのようにしていただけると、問題ないかと思います」
あいつは偉そうにそう言って、口許を少しだけ綻ばせた。