心底、不思議。~毒舌カナタとひねくれみーちゃん~
「ちょっと、タイム………」





「は?」






あたしが思わずぼそりと言うと、カナタは思いっきり怪訝な顔をする。






「今あたし、余裕ないんだよね………。


ちょっと、カナタの件は、後回しで」






「………は?


だから、なんの話?」






「いーえ、忘れてください。」






「?」






カナタは首を傾げているけど、とりあえず説明は後にしよう。






目の前の歩行者用信号が青に変わった。






カナタはすたすたと横断歩道を渡る。



大通りだから、けっこう長い横断歩道歩道だ。






あたしもカナタに続いて渡ろうとした時、足下に何かが落ちているのに気がついた。




あたしは何気なくそれを拾う。





ピンク色の薄手のストールだった。



まだ新しそうな、きれいなレースのストール。






きっと誰かが落としちゃったんだな………。



こんなところにあったら、踏まれちゃう。






そう考えてあたしは、そのストールを側のガードレールに結びつけておいてあげようと思いついた。






< 536 / 600 >

この作品をシェア

pagetop