やさしい手のひら・中編【完結】
帰り道、Blacksのジャケットを見ながら、健太は今、何をしているのだろう・・・明日は帰って来るのかな・・・

一人でブヅブツ呟きながら、私は家路へと向った

カードキーでロックを開け玄関に入ると、男の人のシューズがあり

「健太?」

走ってリビングに行くと

「ただいま」

私の会いたかった健太がソファの前に立っていた

私は嬉しくって嬉しくって、健太の所まで行き、健太のいる手前で飛びついた

「健太ぁ」

さっきまでの電話のことなど忘れて私は健太に抱き付いていた

「亜美、会いたかったよ」

健太も私を強く抱き締めてくれる。健太の匂いが私の鼻をツーンとさせて、鼻の奥が痛くなる

嬉しさのあまり涙が目に溜まってくる

「電話出れなくてごめんね」

「すんげぇ、不安だった」

「ごめんねぇー」

明日帰って来るはずなのに、私の目の前には健太がいて、一日早く帰って来たことが私には何よりも嬉しかった

「ちゃんと顔見せて」

健太の胸から離されて、私はゆっくりと健太の顔を見た。涙をソッと拭いてくれる

「すぐ泣く」

「だって嬉しいんだもん」

私達は見つめ合い、唇と唇を重ねた

会えなかった分、溝を埋めるかのように何度もキスをした
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