やさしい手のひら・中編【完結】
恥ずかしくて私はまた健太の胸に戻った。2週間会っていなかったせいか、心臓がドキドキしている

こんなにも私は健太を恋しいと思い、愛しいと思う

「何かあった?」

「うん?何が?」

「電話に出なかったから・・・」

「あ、携帯失くして、っていうか撮影現場に忘れてしまって」

なんて説明していいのだろう

「モデルの仕事どうだった?」

私は何もやましいことがないので、すべてのことを話した

「モデルの新ねぇ」

「知ってるの?」

「いい男だろ?」

「私は嫌い」

「気をつけろよ。いろいろ噂聞くし」

健太も優香と同じく、悪い噂を聞いたことがあるらしい

「うん。気をつける」

「亜美、かわいいから心配」

そう言って、私の頭を撫でる

「それでね・・・新くんに健太とのことばれちゃって・・・私の携帯拾ってくれたんだけど、待ち受けの写真見られちゃって」

「俺は別に気にしねぇけど」

「絶対に言わないって約束してくれたから、大丈夫だと思うんだけど・・・」

「大丈夫だから、気にすんなって」

「うん」

健太といるとホッとする。どんな言葉でも大丈夫と言われると、安心するんだ

「新との仕事はまだ続くの?」

「うん、多分」

「俺、今度見に行こうかな」

「絶対だめ」

「いいじゃん」

「だめ、だめ」

傍にいることが当たり前で、笑い合えるのも当たり前で、居心地がよかった

「今日、泊まって行くから」

「うん、明日何時?」

「8時頃には出ようかな」

「次はいつ行くの?」

「5日後」

「そうなんだ・・・」

またツアーに健太は行ってしまうんだ
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