やさしい手のひら・中編【完結】
「そんな悲しい顔するなよ。今度は一週間で帰って来るから」

「うん」

一週間で帰って来るかもしれないけど、やっぱり傍にいないのは悲しいことで・・・

「東京にいる間の仕事は?」

「一日だけ休みもらったから、その時は一緒にいよう」

「うん」

「亜美、さっきどこ行ってたの?」

「あっ、そうそう」

テーブルの上に置いてある袋を取り、

「これ買いに行ってたの」

BlacksのCDを健太に見せた

「欲しいなら言えよ。持ってきたのに」

「だってぇ、なんか寂しくて今聞きたかったんだもん。それに今日帰って来るなんて思わなかったし」

「そっか。次のアルバムは亜美にプレゼントするな」

優しい笑顔で私に微笑んだ

私は健太から離れたくなくて、ずっと腕にしがみ付いていた

「亜美、風呂入れてくるけど」

ずっとこのままでいたい

「離してくれないと風呂行けないけど」

「やだぁ」

「かわいいことすんなって」

「今日はどこにも行かないから」

私はふくれ顔をしていた

そして健太はすぐ戻って来てくれて、私の手を握ったまま隣にいてくれた
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