やさしい手のひら・中編【完結】
少量のカクテルだったので一気に飲んでしまい

「ゆっくり飲めよ」

「もう飲んじゃった」

それからパスタを食べ、3人で新くんの小さい頃の話をして笑っていた

「そろそろ帰ろうか?」

「うん」

カクテルを飲んだだけなのに体がポカポカしていて、ほっぺたが熱くなっていた

椅子から立ち上がると、フラッと目の前が揺れ、もう一度椅子に座り直した

「お前、あれだけで酔ったの?」

ケラケラと私を見て、新くんが笑っている

「酔ってないから」

酔っていないはずなのに、体がフワフワしていた

「ほら行くぞ」

また手首を掴まれた。でも頭がクラクラしていて、

「お前、危ないわ」

と、腰に手を回された

「大丈夫だよ」

と、新くんの手を避けようとしたら

「転んで怪我したら、仕事できないだろ」

そう言われて、私はそこまで考えていなかった。やっぱり新くんは仕事のことになると責任感が強くなるんだな、と思ってしまった

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