やさしい手のひら・中編【完結】
車に乗り、私の帰る方へ車を走らせた

車に乗った途端、今日の仕事がハードだったことと、先程のカクテルのせいで私は睡魔に襲われていた

「着いたら起こすから、寝ていいよ」

「眠くないもん」

「ほんと強がりだよな」

口元を上に上げて新くんは笑った

眠くないと言っておきながら、やっぱり睡魔に耐えられず私は、眠ってしまっていた

「着いたぞ」

「う…ん」

夢心地の途中で新くんに起こされ、目をゆっくり開けて新くんを見た

コンコン

窓を叩く音が聞こえ、私も新くんも音が鳴った方を見てみた

えっ・・・健太!

窓の向こうにいる健太と目が合い、私は心臓がドキドキと騒ぎ出し、冷たい健太の目を反らすことが出来なかった

「降りて来い」

そう言われて私は恐る恐る車から降りた

「どういうこと?」

健太の冷たい言葉と冷たい視線に私は体が震え出していた

「俺が無理やり誘ったんで、亜美は悪くないですから」

新くんも車から降り、健太に言った。一度健太は新くんを見たけど、すぐに私の方に目線を戻し

「なんで一緒にいるの」

怒ってることが十分わかってしまうぐらい、健太は怖い顔をしていた

「・・ごめ・・ん・・なさい」

私が悪いのに涙が溢れ出し、泣いてしまっていた

「亜美、泣いてちゃわからないだろ」

私は健太の顔を見れずに、足元のアスファルトを見ていた。そしてアスファルトに私の涙がポツンポツンと落ちていく

「亜美がタクシーで帰るって言うのを俺が連れ出したんです。そんなに亜美を責めるなら、俺連れて帰りますから」

新くんはそう言って、私の隣に来て私の手を掴んだ

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