やさしい手のひら・中編【完結】
「わあー」

会場の前で私達3人は立ち止まった

とても大きい会場で今まで私が見たライブの中では一番大きい会場だった。健太達の凄さを改めて実感してしまった

「入るよ」

優香に言われ、私と由里はコクンと頷いた

健太に警備の人にチケットを見せるように言われていたので、私は警備の人にチケットを見せ、席へと案内された

2階へと登る階段を上がり、一歩一歩会場へ近づいて行く

警備の人が大きなドアを開けた

3人とも目が点になっていた

とても大きい会場で、とにかく人がたくさんいてびっくりしてしまった

隣の由里も口をポカンと開けたまま動けないでいた

「亜美、もう昔とは違うんだね」

ステージを見たまま由里が言った

「そうだね」

びっくりしすぎて「そうだね」、としか答えられなかった

こんな大きな会場で歌う健太はどんな気持ちなんだろう・・・健太が緊張するのもわかる気がする

「亜美ちゃん!」

どこかで聞いたことがある声がして、振り向くと

「キャー」

と言って思いっきり私に飛んで来た

「咲ちゃん!?」

「そうだよぉー」

久しぶりすぎて、私と咲ちゃんは抱き合った

「亜美ちゃんにはやっぱり健太なんだね」

「すいません」

「でも戻って来てくれてよかったぁ」

笑いながら咲ちゃんは目に涙を溜めていた

「ほんとよかった」

とうとう涙が零れてしまい、泣いてしまった

「亜美ちゃんに会いたくって、今日地元から来たの」

「ありがとう、咲ちゃん」

うんうんと咲ちゃは頷いてくれた

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