やさしい手のひら・中編【完結】
「なんでここにいるの?」
なんでって言われても私はどうしたらいいの?いっぱいしゃべりたいのに、突然のことで頭の中がパニック状態だった
「引越して来て・・・」
「いつ?」
「3月」
片言しか答えられないでいた
あんなに会いたかった健太なのに、なぜか健太が遠い人に見えてしまった
「就職したの?」
「短大」
「そっか・・・亜美も東京に来てたんだな」
「あいつと」
「私、行くね」
健太は多分凌のことを聞こうとしていた。私は聞かれる前に健太の言葉を阻止し、入り口の方を向いた
「なんで目も合わせてくれねぇんだよ・・」
健太の一言で歩き出した私は立ち止まった。悲しそうな声で健太は言った。どんな顔をして言ったのか私には見ることができなかった
はっきりもう会うことはないことを告げた方がいいのかもしれない。私のためにも健太のためにも・・・凌のためにも・・・
「俺は…亜美のこと、忘れたことなかった」
目を閉じて堪えても、私の頬を涙が伝う
健太は私の方に来て、私を後ろから抱き締めた
懐かしい匂い。あの頃と何も変わっていない匂い。優しく私を包み込むこの腕も何ひとつ変わっていなかった
どうして出会ってしまったのだろう。絶対に会うことがないと思って今日まで来たのに。私が健太を思う気持ちがどんどん膨れ上がっていく。この腕を振り払って、ここから出ることも出来るのに私は抱き締められたことが嬉しくて振り払おうとしなかった
「亜美、もう離さない」
私にこんな嬉しい言葉を言ってくれる。でも私には凌がいる
「私には凌がいるから」
言ってしまった。健太は私の後ろで、どういう気持ちでいるのだろう
「だから?」
「えっ?」
「やっと亜美に会えたんだ。俺はいつか亜美に会えることを信じて頑張って来た。今ここで亜美を離してしまったら一生会えなくなるような気がする。だからあいつんとこには帰さねぇ」
「どうして?じゃあ、なんで今まで連絡くれなかったの?私…あの日空港に行ったんだよ!電話だってしたし。でも…健太…連絡くれなかった…」
私は泣きながら健太に言った
なんでって言われても私はどうしたらいいの?いっぱいしゃべりたいのに、突然のことで頭の中がパニック状態だった
「引越して来て・・・」
「いつ?」
「3月」
片言しか答えられないでいた
あんなに会いたかった健太なのに、なぜか健太が遠い人に見えてしまった
「就職したの?」
「短大」
「そっか・・・亜美も東京に来てたんだな」
「あいつと」
「私、行くね」
健太は多分凌のことを聞こうとしていた。私は聞かれる前に健太の言葉を阻止し、入り口の方を向いた
「なんで目も合わせてくれねぇんだよ・・」
健太の一言で歩き出した私は立ち止まった。悲しそうな声で健太は言った。どんな顔をして言ったのか私には見ることができなかった
はっきりもう会うことはないことを告げた方がいいのかもしれない。私のためにも健太のためにも・・・凌のためにも・・・
「俺は…亜美のこと、忘れたことなかった」
目を閉じて堪えても、私の頬を涙が伝う
健太は私の方に来て、私を後ろから抱き締めた
懐かしい匂い。あの頃と何も変わっていない匂い。優しく私を包み込むこの腕も何ひとつ変わっていなかった
どうして出会ってしまったのだろう。絶対に会うことがないと思って今日まで来たのに。私が健太を思う気持ちがどんどん膨れ上がっていく。この腕を振り払って、ここから出ることも出来るのに私は抱き締められたことが嬉しくて振り払おうとしなかった
「亜美、もう離さない」
私にこんな嬉しい言葉を言ってくれる。でも私には凌がいる
「私には凌がいるから」
言ってしまった。健太は私の後ろで、どういう気持ちでいるのだろう
「だから?」
「えっ?」
「やっと亜美に会えたんだ。俺はいつか亜美に会えることを信じて頑張って来た。今ここで亜美を離してしまったら一生会えなくなるような気がする。だからあいつんとこには帰さねぇ」
「どうして?じゃあ、なんで今まで連絡くれなかったの?私…あの日空港に行ったんだよ!電話だってしたし。でも…健太…連絡くれなかった…」
私は泣きながら健太に言った