やさしい手のひら・中編【完結】
心を込めて歌っている健太の歌声が、私の胸にジーンと染みた

この歌を何度聴いて、何度泣いただろう

私にとっての一番の曲

そして私の一番のプレゼント・・・それは健太。私も健太と同じ気持ちだよ

ライブも終わりになり、ファンの声のアンコールが聞こえる

そして隣の優香も手を上げ、「アンコール」と叫んでいる

それを見て笑う私達

ファンの子達が声を1つにして、何度も叫ぶと明るい会場にBlacksが現れマイクを持った健太が

「ありがとう。この言葉はほんと大事だよね。いろんな思いを込めて、みんなにありがとう。そして愛する人にありがとう」

そう言い、健太は歌を歌い出した

3曲歌い、ファイナルツアーの幕が降りた

感動のあまり半べそになっている優香が

「また来ようね、絶対来ようね」

「うん、来ようね」

♪♪♪~

私の携帯が鳴り、騒がしい中左耳を押さえながら携帯に出た

「今、どこ?」

「えっ?健太?」

「まだ会場?」

「うん、まだ会場だよ」

「じゃあさ、みんなで控え室に来て」

控え室?

「どこにあるの?」

「今、警備のやつに行かせるから席で待ってて」

「うん」

なんの用だろ・・・

「健太から電話で控え室においでって」

ちょっと離れていた優香に聞こえていたみたいで

「えっ?控え室行くの?私も行っていいの?」

目を丸くして私に聞いてきた

「うん、みんなでおいでって。今、警備の人迎えに来るってさ」

「キャー」

優香はジャンプして喜んでいる

「咲ちゃんも行きますよね?」

「うん行くよ」

すぐに警備の人が来て、私達は裏口の通路から健太達のいる控え室に向った
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