やさしい手のひら・中編【完結】
「どう?彼氏の歌で俺との結婚シーンっていうのは?」

「…」

複雑な気持ちだった

「すばらしい映像だったと思うよ」

私は質問されたことを答えず、誤魔化し違う回答をした

「ふーん」

それ以上新くんは何も言わず、前を向いた

「亜美ちゃん」

横に小西さんが来て、

「何も相談もせずに、済まなかったね」

「いいえ」

「来月の始めからテレビで流れるようになるからね。BlacksがCMソングになっているから話題になると思うよ」

「きっと健太に話したらびっくりします」

「驚くだろうね」

小西さんはそう言って会議室を出て行った

アルバイトということで仕事をしたのに、だんだん物事が大きくなっていくことに複雑な気持ちだった

このまま中途半端な気持ちでモデルの仕事をするべきなのか、正直いって戸惑っていた

私のやりたいことはモデルじゃなくて、保育士なんだと…
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