やさしい手のひら・中編【完結】
「絶対いつか会えると思って連絡しなかった。空港に来たことも知っている。由里ちゃんから聞いた。夢を掴んだら亜美を迎えに行こうって誓ったんだ」

「そんなの健太の勝手じゃん。私がどんな…」

泣きじゃくっているため、言葉にならない

「でも今こうやって亜美に会えた」

健太は私を前に向かせた

ラストライブ以来、健太の顔を見た。テレビと雑誌では一度見たが、目の前で見たのは一年ぶりだった。私は手で顔を伏せ、今まで我慢してきた気持ちが溢れてしまい、涙が止まらなかった

「ちゃんと顔見せて」

健太が私の両手を掴み、顔から私の手を離した

「亜美の顔、やっと見れた」

健太がフッと笑った。私の大好きな笑顔。この笑顔だけは忘れたことがなかった。ずっと会いたくて会いたくて、好きな気持ちを何度も押し殺して我慢してきた。今、私の目の前に健太がいる

「健太ぁ」

健太の頬を触ってみた

「本物だね」

嬉しさで涙がポロポロと落ちていく。その涙を健太が優しく拭ってくれる

どのぐらい拭ってもらっていなかっただろうか

「亜美」

健太が私の右頬に手を置く、そして左頬にも…

私と健太は見つめ合い、2年ぶりのキスをした

優しくて、温かくて、愛しくて…

何度も何度もキスをした
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