やさしい手のひら・中編【完結】
7月に入り、私と新くんのコマーシャルがテレビで流れ出した

この話をしていなかったお母さんが、コマーシャルを見てびっくりして電話を掛けてきた

そして健太の話をすると、それ以上に驚きしつこいぐらいに健太との経緯を聞かれた

「夏休み帰って来ないの?」

そう、お母さんに言われたけどモデルの仕事が入っているから冬休みに帰ることを伝えた

もう少しで夏休みなので私は短大を休まず行っていた

「あの子じゃない?」

「見た見た!」

CMが流れてから短大で知らない人達が私を見て、コソコソ話すようになった。私がCMに出ていることに気付いて、私を見るたびに冷たい視線で見ていた

そんなこと気にするな、と優香が言ってくれて、いつも私の傍にいてくれたので何を言われても平気だった

食堂で優香と2人で昼食を食べていると

「CM見たよ」

と、違う科の子達が話し掛けてきた

「あ、うん」

「亜美ちゃん、きれいだね。凄く素敵なCMだよ。頑張って」

ニコッと笑って言ってくれたことに私はホッとした。こう思ってくれる人もいるんだ・・・

「周りのこと気にしちゃだめだよ。じゃ、またね」

そう言って違う席へ行ってしまった

でも優しい言葉を掛けてくれて、嬉しかった

「悪いこと言ってる人間ばっかじゃないね」

優香が私に微笑みながら言った

「うん。安心した」

「いいたい奴には言わせておきな」

「うん」

優香といい、さっきの子といい、なんか救われた気がした

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