やさしい手のひら・中編【完結】
健太との旅行があまりにも嬉しくて、ベットに入ってからもニヤニヤしていて、顔が緩んでいた

「そんなに嬉しい?」

「めちゃくちゃ嬉しい」

「そっか。楽しみだな」

「うん」

普段、一緒にいても遠くへ出掛けることがなく、出掛けても近所のスーパーやレンタルショップに行く程度だった

だから旅行に行けることが何より嬉しかった

「ほら、早く寝れ」

目を開けていた私の顔に手を置き、目をつぶらせた

「寝れないよぉ」

「まったく遠足前の子供みたいだな」

と、口元をキュッと上へ上げ笑った

「おいで」

私を引き寄せ、すっぽりと健太の腕の中に入り

「俺達があそこで出会ってから4ヶ月立つんだな」

クラブで会ってから4ヶ月。会ったのが春だったのに、いつの間にか季節は夏になっていた

「早いな」

真上を見ている健太が言った

「ほんとだね」

こうやって、季節は次から次と変わっていくんだ

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