やさしい手のひら・中編【完結】
「すげー」

函館山からの景色を見て、健太は目を大きく開いた

「すごいでしょ」

2人とも無言で景色を見つめていた

「さっきまで俺らあそこら辺にいたんじゃね?」

健太は遠くの方へ指を差した

百万ドルの夜景と言われるだけあって、とってもきれいで街がキラキラ輝いていた

「来てよかったな」

「うん」

握り合っていた手をお互いにギュッと強く握った

「写真撮ってもらおう」

近くにいたカップルに写真を撮ってもらうようお願いした

撮り終わったあと

「あの・・・失礼ですけどBlacksの・・・」

「秘密にしておいてね」

健太が笑顔で相手の女の子に言うと、女の子は顔を赤くして「はい」と答えてくれた

私と健太は「ありがとうございます」とお辞儀をしてその場を離れ

「なんか感動した」

健太は先ほどの景色にまだ余韻が残っているようだった

満足をした私達は頂上からまたロープウェイに乗って下に降り、ホテルへ戻って行った


「疲れたー」

今日一日歩いてばかりだったので、さすがにドッと疲れが出てベットへ飛び乗った

「ほら、ゴロゴロしてないで風呂入るぞ」

「だってー疲れたぁ」

健太は私のミュールを脱がせ、脇を持ち上げられ一気に服も脱がされてしまった

「ほら、行くぞ」

健太が貯めてくれていたお風呂に直行し、ソッと足を入れ湯船に浸かった

「気持ちー」

「肩まで浸かって」

私の腰を引っ張り水面まで肩を下げた

「楽しかったねぇ」

私は後ろにいる健太にぴったりとふっついていた

「夜景が凄く感動したな。あんなにきれいだと思わなかった」

「でしょ」

「子供が大きくなったら連れてきたいな」

「そうだね」

私は健太の指を絡ませながら話を聞いていた

< 151 / 388 >

この作品をシェア

pagetop