やさしい手のひら・中編【完結】
なんで熱あるのわかったのかな・・・そんなことを考えていると

「ほら」

私の頭に冷たいタオルをのせてくれた

「寒くない?」

「はあ?」

「だから、寒くないかって」

普段の新くんと違い、凄く優しく見えてしまった

「ごめんね。せっかく誘ってくれたの・・・」

「また今度でいいよ」

新くんはベットの横に腰を降ろベットに寄りかかった

「あいつは?」

「・・・仕事だよ」

「会ってないんだろ?」

「・・・」

「隠さなくてもいいよ。この時期はみんな忙しいから会えないのは当たり前」

「当たり前・・・なの?」

我慢していた涙腺が緩みだし、目にいっぱい涙が溜まっていく

「売れてるから忙しいんだろ。今、会えてたらBlacksはもうおしまいだわ」

そうだよね。人気があるから忙しいんだよね

でも会いたいの・・・

「寂しい時は俺に電話すれ。すぐ来るし、すぐ会える」

新くんが私の方へ振り向き、泣いている顔を見て涙を拭ってくれた

「泣くなよ」

「ごめん」

「年内会えないのは覚悟した方がいいぞ」

「う・・・ん」

「結構熱あるから寝たら?」

「うん。新くんはどうするの?」

「もう少ししたら帰るから」

「うん」

弱っている時、誰かが傍にいるっていうだけで落ち着けて安心してしまう

私は熱のせいですぐに眠ってしまっていた
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