やさしい手のひら・中編【完結】
ハッと、目を覚ますと床に座ったままベットに顔を伏せて寝ている新くんがいた

私は安心してしまって寝ちゃってたんだ・・・

新くんは帰ると言ったのに帰らないで傍にいてくれて・・・

私は新くんにソッと毛布をかけた

リビングに行き、体温計で熱を測ってみたらまだ38度もあった

「起きたのかよ」

寝室から眠たそうに新くんが起きてきた

「ほんとにごめんね」

そう言ってソファから立ち上がろうとすると、私の両肩を押し

「座ってろ」

と私の隣に座った

「熱は?」

「38度」

「まじで?」

「うん」

「行こう」

「どこに?」

「俺んち」

私はびっくりして背もたれに倒れ込んだ

「はあ?なんで新くんの家なの?」

「ここにいたらどこに何があるのかわからないし、俺が帰ったらお前一人じゃん」

「一人でも大丈夫だから」

「少し俺の言うこときけよな」

私の手を引っ張り寝室へ連れて行かれて

「バックに着替えとか入れて。早く」

と、私を急かした

「ちょっと」

「いいから」

掛けてあったコートを私に着せて、着替えを入れたバックを持ち私をおんぶした

「うわぁ」

「つかまってろよ。鍵出して」

「はい」

なぜか逆らえなくて、私は新くんの言いなりになっていた

昨日私を看病してくれて申し訳ない気持ちだったからかもしれない

私は新くんの車の助手席に座らされた

座った途端、新くんが私に近づいてきて

「な、なに?」

と思ったら、シートを倒してくれるために私の方に寄ってきただけだった

「勘違い女」

変な想像をした自分が恥ずかしくなり顔を伏せた。多分顔が真っ赤だろう

「着くまで寝てろよ」

「はい」

私は恥ずかしさを隠すため、体を窓側に向け目を閉じた
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