やさしい手のひら・中編【完結】
ウトウトと寝ていたら

「着いたぞ」

新くんは助手席のドアを開けてその場にしゃがんだ

「ほら、おんぶ」

「歩けるよ」

「早く」

「う・・・ん」

新くんの背中は健太みたいに大きな背中で、体の芯が細いと思っていたけど、やっぱり男の人の体だった

熱のせいかほっぺたが熱く、やっぱり寒気がしていた

「寒いのか」

「あ、うん」

「部屋に入ったらすぐ寝れよ」

「ありがと」

酔っ払った時以来、新くんの部屋に来た。健太とはまた違った匂いがする

「よし、ちょっと寝てろよ」

私を新くんのベットに寝かせ、新くんはリビングに行ってしまった

私・・・何やってんだろ。健太じゃない人と一緒にいる

どうして看病してくれるのが健太じゃないの・・・?

会いたく会いたくて、どうしようもなかった

「頭冷やして、いっぱい汗かけ」

「ごめんね」

「あいついないし、俺しかいないだろ」

そう言って、ベットの上に座った

「腹減ってない?」

「うん」

「寝て起きたら飯食えよ」

「うん」

「俺、あっちにいるからなんかあったら呼んで」

「うん」

ドアを開けたまま新くんはリビングへ行った

私は何も考えないようにしようと思い眠りについた

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