やさしい手のひら・中編【完結】
私のマンションに着いてすぐベットに寝かされ

「大丈夫か?」

私の頬に触れながら健太は言った

「ごめんね、疲れてるのに…」

「亜美の顔みたら疲れなんて忘れてた」

優しい声で言うから私はだんだん涙腺が緩んできた


「顔色悪いな。ほんとになんでもなかったのか?」

ドキッとしてしまった

「ほんとに風邪だよ」

「それなら安心だけど」

健太は鋭いから私は感付かれたのかと思った

「俺、シャワー浴びてくるな」

「うん」

健太がシャワーを浴びに行った

私は健太に隠し通せるのか不安になった

今まで隠し事をしたことはなかったけど、私を見て私の思っていることがすぐ健太にばれてしまっていた

ソッとお腹に手を当てた

今までと何も変わらないお腹だけど、間違いなくここには赤ちゃんがいる

いつ出来てしまったのか、わからないけど赤ちゃんは一生懸命生きているんだ

私がお母さんになる…

短大はどうするの?保育士の夢は?

いろいろ考えると次から次と不安が押し寄せてくる
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