やさしい手のひら・中編【完結】
産婦人科の前で一人で椅子に座っていた

周りを見るとお腹の大きい人ばかりで私は自分の前に座っている女性を見ていた

何ヵ月目なのだろうか…

幸せそうな顔でお腹をさすっていた

そんな姿を見ると胸が苦しくなっていく

この先どうなるかわからない、どうしたらいいのかさえわからない

「福田亜美さん」

看護師さんに呼ばれ、また尿検査をするように言われ私は結果が出るまで待たされた

すぐに呼ばれ診察室に入った

年配の女の先生がニコッと笑い

「こんちにわ。救急で妊娠のことを聞いたと思うけど、間違いないわね」

優しいしゃべり方で話してくれ

「赤ちゃんの検査をするから内診しましょうね。診察室1に入ってね」

そう言われ

私は移動した

テレビでしか見たことがなかった診察台が目の前にあり動揺してしまった

どうすれば良いのか戸惑っているとカーテンの向こうから

「下着を脱いでこちらに上がって下さい」

と言われ

私は言われた通り診察台に上がり先生が来るのを待っていた

緊張して力が入ってしまう
< 180 / 388 >

この作品をシェア

pagetop