やさしい手のひら・中編【完結】
会計で待っている間、私は赤ちゃんの写真をずっと見ていた

男の子なのか、女の子なのかまだわからないけど、私はこの先のことを知りたい

誰かに反対されても赤ちゃんを守っていいきたい

この子の命を無駄にしたくない

私は健太に相談せず産むことを自分の意志で決めた


マンションに戻り、久しぶりに由里に電話した

「由里?」

「亜美ー久しぶりっ!」

「ほんとだね」

「何かあった?」

「うん・・・」

「ちょっと待った!私暇だから亜美の所行くわー」

「うん、わかった。待ってる」

何かあると感づいたのか由里が私のマンションへ来ることになった

40分ぐらいしてインターホンが鳴り、ドアを開けた

「キャー亜美っ」

いつものように私に抱きついてきて

「はい、お土産。今日はケーキにしてみた」

ニコッと笑い私にケーキを渡して由里は部屋へと入って行った

「外寒いよ」

「もう少しでクリスマスだもんね。私お正月は実家に帰るんだ」

私が言うと

「私も帰るよ。亜美はいつ帰るの?」

「30日かな」

「同じだー。それなら一緒に帰ろうよ」

「うん」

「それで電話で何が言いたかったの?」

由里が真剣な顔で私を見た

「うん・・・私さ・・妊娠してるの」

「えっ?えっ・・・妊娠?」

由里は突然のことでびっくりしたのか目を大きく開いたまま動けないでいた

「えっ・・それって健太くんの・・」

「健太の子供だよ」

「産むの?」

「凄く悩んでね、まだ健太にも言ってないんだけど。昨日病院行ったら2ヶ月って言われて、写真をもらったのね。それを見たらさ・・・この子の命を無駄にできないって思ったの。だってね、一生懸命生きてるんだ。そして私の大好きな人の子供なの・・・」

私は今の気持ちを由里にはっきりと言った

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