やさしい手のひら・中編【完結】
どのくらい時間が立ったのだろうか

自分が自分じゃなくなり、私はもう感情がない人形みたいだった

私はいつの間にか、12月という寒さの中、上着も着ず裸足のまま外を歩いていた

通り過ぎる人達が私を振り返って見ている。でもそんなことも目に入らず、行くあてもなく歩き続けた

足が冷たいはずなのに冷たさを感じない。寒いはずなのに寒さを感じない

でも感じたんだ…

お腹の痛みを…

突然お腹に激痛が走る

「痛…い」

私はお腹を押さえながら、その場に座り込んでしまった

「赤ちゃん…、私の赤ちゃん…」

座った地面が真っ赤に染められていく

「いやーー健太ぁ!」

私は泣きながら叫んだ

「亜美!」

「おい、亜美!」

意識が朦朧とする中、由里の声と男の人は誰だろう…

私はそこで意識がなくなってしまった
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