やさしい手のひら・中編【完結】
手術中の灯りが付く中、廊下には由里と凌がいた

凌はテレビを見て、私のことが心配になり私のマンションへ向かう途中だった。そこで由里と会い、私と連絡が取れないことを聞き、一緒に探している途中、座り込んでいる私を見つけてくれた

「亜美…妊娠してるのか?」

下を向いたまま凌が小さな声で由里に聞いた

「う…ん。でも出血ひどかった」

由里は私を思い出し泣いていた

「亜美産みたいって言ってて…」

凌はそれを聞いて何も言わなかった

手術室のドアが開き、先生が出てきた

「福田さんのご家族ですか?」

「いいえ、友達です」

「今、出血多量で血液が足りない状態です。輸血が必要なんです。今すぐご家族の方を呼んで下さい」

「亜美の家族は東京じゃないんで今すぐには…」

「俺の使って下さい。亜美と同じA型です」

凌がソファから立ち上がり先生に言った

「わかりました。ではこちらへ」

先生に連れられ凌は手術室へ入って行った

由里は手を合わせ、ずっと目を閉じ祈っていた

そして、やっぱり隠しておくことはできない、と思い健太に電話をしたが、繋がることがなく留守電にメッセージを残し電話を切った

そして

「亜美も赤ちゃんも助かりますように」

ずっと神様にお願いしてくれていたんだ
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