やさしい手のひら・中編【完結】
麻酔のせいで頭の中が幻想の世界で、グルグルと天井が回っている中、私は目を開けた

「赤・・・ちゃん、赤・・・ちゃん」

「亜美っ!」

由里が私に叫んだ

「由・・里?」

「そうだよ。わかる?由里だよ」

視点が一致しなくて由里の顔かぼやけて見えて、隣に誰かいる・・・

「凌・・・?」

「大丈夫か?」

目だけ動かし探してみた

健太を・・・

でも健太はここにいなくて・・・いたのは由里と凌だけだった

「由里・・私の・・・赤ちゃんは・・?」

由里を見ると目いっぱいに涙を溜めていた

「いやーーーー」

私は手足をバタバタさせ、ベットの上で暴れ酸素マスクも点滴も取り外し放り投げた

「亜美、落ち着け。落ち着くんだ!」

凌が私の腕を押さえ、暴れている私を止めようとした

「離して!私の赤ちゃんはどこぉーーー」

由里が急いでベットの上にあるボタンを押し

「早く、早く来て下さい!」

ナースコールをした

すぐに先生たちが来て、腕に精神安定剤を打たれた

「福田さん落ち着いて下さいね」

私をなだめるように先生が言う

「赤ちゃん・・ど・・こですか」

「今は、ゆっくり休んで下さいね」

誰に聞いても赤ちゃんのことを教えてくれない。どうしてなのかわからない・・・

私は精神安定剤が効き出し、また深い眠りについていった
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