やさしい手のひら・中編【完結】
「ここどこ?」

「病院だよ」

凌が優しく言った

「今は何も考えないでゆっくり休めばいい」

ゆっくり?病院で?

「帰る…」

私が起きようとすると、凌に両肩を押さえられ

「亜美、今は帰れないんだよ」

「どうしてみんな哀れむ顔で私を見るの?私が…私が何をしたって言うの!」

私は感情をコントロールできないでいた

「私、お腹に赤ちゃんがいるの。こんな所で寝てられない。今日は産婦人科の先生に産むことを伝えに行く日なの!」

後ろにいる由里は手を口に当てて泣いていた

「亜美…もう赤ちゃんはいない。流産…したんだ」

「な、何言ってるの?凌おかしいよ」

「亜美!現実なんだ目を覚ませ」

ただ涙が流れるだけだった

「死んでない!生きてる。ここで生きてるの!」

私はお腹を触った。そして優しく撫でた

「生き…てるん…だよ」

私は声を張り上げ、泣いた

私のお腹で元気に一生懸命生きてる

まだ麻酔が残っていたせいか、私はまた眠ってしまった

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