やさしい手のひら・中編【完結】
「俺ね、健太くんじゃなくて、本郷くんと付き合っていくんじゃないかなぁ、って思ってたよ」

駿は申し訳なさそうに言った

「そうだね。健太と偶然に会ってなかったら凌といたと思う…」

「健太くんとは巡り合う運命なんじゃねーの?」

運命…そうであってほしい

「どうだろうね…」

笑って誤魔化したけど、運命の人が健太だったらいい

「2日楽しみにしてるわ」

駿が出て行った

ほんとに今年はいろんなことがあった

会うはずのない健太とクラブで会った時は信じられなかった

会いたくて仕方がなかった健太を目の前にして避けたのは私だった

もしあの時お互い気付かないでいたら、どうなっていたのだろう

凌と別れることもなかった?赤ちゃんができることもなかった?

昨日までのことは過去。これからのことは未来。私は未来も健太の横で笑っているのだろうか…

ずっと笑っていたい…
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