やさしい手のひら・中編【完結】
2日の昼頃、家のインターホンが鳴った

ピンポーン

私は大急ぎで玄関に行きドアを開けた

そこには健太が立っていた

「久しぶりだね・・」

ずっと会っていなかったせいか、なんか照れ臭くて・・・

「おぉ、今年もよろしくな」

フッと笑い私の頭を撫で

「お父さんとお母さんは?」

「リビングにいるけど・・・」

急に顔が真顔になり、健太のは目は私ではなくリビングの方を見ていた

「入らせてもらうな」

私より先に入って行き、リビングの入り口でいきなり健太が正座をし床に手をつけた

「申し訳ございませんでした」

頭を下げたまま謝っている

「ちょっと・・健太・・」

一度私を見て、顔を左右に振った

「亜美が傷ついたのは自分の責任です」

「顔を上げなさい」

お父さんが健太に言った

「いいえ、今回は自分が至らなかったために亜美を辛いめに合わせてしまいました。もっと早くに来るべきでしたが・・・」

「健太くん、顔を上げて」

と、お母さんが健太に近寄り体を揺らした

健太は顔を上げ真っ直ぐお父さんを見ていた

お母さんは健太をお父さんの真向かいのソファに座らせ

「川崎くん」

「はい」

「今回は残念なことになってしまったけど、俺は亜美が産みたいというなら産ませてあげたかったよ」

「お父さん・・・」

お父さんのその一言で私は胸にジーンときてしまった

「どこの誰だかわかない子供ならそうは思わなかったけど、川崎くんなら亜美を任せられると思っていたから・・・でも流産となってしまって亜美も傷ついたけど、川崎くんも傷ついた。だからどっちが悪いと責めるつもりはない。ただ・・・亜美をこれからも守ってほしい。今までと変わらない気持ちで亜美を大切にしてほしい。それたけが俺の願いだよ」

お父さんは優しくゆっくりと健太に言った

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