やさしい手のひら・中編【完結】
その日の夜、健太はお父さんの晩酌に付き合わされ、話に花を咲かせていた

2人ともつぶれることなく飲んでいた

「健太もう飲むのだめ。ほらお父さんも!」

「たまにいいじゃん」

「だーめ」

健太からグラスを奪い取り

「亜美はだんだんお母さんに似てきたな」

「親子だからね」

お父さんのグラスも取り、

「もうビールはないよ」

「はいはい」

ちょっと酔っているお父さんは重い腰を上げ、お母さんに連れられて寝室へ行き、私達も部屋へ戻ってきた

「俺、親父とこうやって飲んだことないから、なんか嬉しかった」

ほろ酔いの健太は酔いのせいか顔を赤くしていた

ベットに寝ながらタバコを吸い、

「家族っていいよな。俺もこういう家族を作りたい…」

健太は私の顔をジッーと見つめ

「亜美と一緒にな」

と口元を上に上げて笑った

「亜美もあと1年で短大卒業だよな」

「そうだね」

「早く結婚してぇ」

天井を見たまま私に言った

「うん」

「おいで」

健太に呼ばれベットに座ると、すぐ後ろから抱きつかれ

「亜美といると落ち着く」

べったりとくっついているから私は身動きもできず

ただ健太に寄りかかっていた
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