やさしい手のひら・中編【完結】
「着いたぞ」

「うん」

初めて来たお店だった

「今日飲まないの?車だよね?」

「あー、今日は飲むのやめとく」

「私も今日は飲まないよ」

「お前いつもそう言って飲んでるじゃん」

「今日は飲まないの!」

まだ体調も完璧じゃないから今日は飲まないんだ

「こんばんは」

いつものメンバーだったことに安心した

「亜美ちゃーん」

田村さんが私に手を振り、「こっちよ」、と手招きしていた

新くんは男性がいる方へ行き、私は田村さんがいる女性の方へ来た

「元気だった?」

「はい」

田村さんは妊娠のことを知らないのでこのまま黙っていよう

「川崎くん大変だったみたいね」

佐原樹里のことを言っていると思い

「あ、はい」

「仲直りできた?」

え?

私は驚いた顔をした。仲直りって、田村さん何か知っているの?

「その顔だとやっぱり喧嘩になったかな?」

「喧嘩というか…仲直りしましたよ。お正月も私の実家に来てました」

「あら、そう!仲直りしたならよかったわ。あんなに騒がれたから亜美ちゃん達大丈夫なのか心配してたのよ」

田村さんは何も知らなくて、ただ心配してくれていただけだった

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