やさしい手のひら・中編【完結】
「俺も入れてー」

私と田村さんの間に強引に新くんが入って来た

「ちょっと狭いよ」

「いいじゃん」

「若い人達同士どうぞ」

グラスを持って田村さんは新くんのいた席へ行ってしまった

「もぉ、新くんのせいだよ!」

「俺かよ!」

「仕事の話してたのに」

「そうそう亜美と俺また一緒の仕事」

「どうして新くんと一緒なのー!」

「俺ら理想のカップルらしいよ」

また私をからかって笑っている

「カップルじゃないから!」

「お前冷てー」

「もぉ、うるさいよ」

「反抗的だな」

そう言って、拳で私の頭をグリグリとした

「痛っー」

「相変わらず仲がいいな」

と、周りの人達に笑われてしまい恥ずかしさのあまり下を向いていた

「そう言えば健太もなかなかやるな」

「何が」

「佐原樹里とよ」

どうも今日はこの話ばかりだ

「別に何もないよ」

「お前大丈夫か心配してたんだぞ」

その言葉にキョトンとしてしまい

「あ、ありがと」

「ま、元気そうだからフラれてないんだな」

「ひどーい」

新くんはケラケラと笑っていた
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