やさしい手のひら・中編【完結】
「さあ、帰るとするか」

編集長の一言でみんな帰る支度を始めた

「帰るか?」

「うん」

私が新くんの後ろに着いて行くと

「まだ早いからドライブするか?」

「ドライブ?」

「いいとこ連れて行ってやるよ」

私の返事も聞かず、車のキーをクルクル回しながら歩き、車の助手席のドアを開けてくれた

「ありがと」

車に乗ってすぐに

「正月何してた?」

「実家帰ってたよ」

「一人で?」

「友達と…」

「ふーん」

そう言ってクスッと笑った

「何よー」

「どうせ健太と一緒だろ」

「…」

「当たりだ」

「もぉ、いいじゃん」

「健太がうらやましいな」

「うん?」

車から流れている曲で新くんの声が聞こえなかった。一瞬寂しそうな顔をしたけどなんて言ったのだろう

その後聞いても教えてくれず、他の話しになり私は先ほどの話をもう忘れてしまっていた

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