やさしい手のひら・中編【完結】
「俺を見てくれない。だから俺の片思い」

そう言った新くんを哀れむつもりはないけど片思いが辛いという気持ちは私もよくわかっている

「うん…」

なんて言葉を掛けていいのか戸惑ってしまった

好きな人が振り向いてくれないということは本当に辛いことで…

「今は傍にいれるからそれでいいと思ってる。でも、そいつが悲しむようなことがあったら黙っていられないと思う」

「そうだね。辛い時支えてあげたいよね…」

「俺、諦めないから」

その言葉だけ強調しているかのように大きい声で言った

相手の人が誰なのか聞こうとしたけど、新くんが言わないということは言いたくないんだと思い私は聞かないでいた

私達は港から海を挟んだ東京を眺めていた

冬なので空気が透き通っていて、吐いた息が白くて、寒いけどまだここにいたいと思える場所だった
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