やさしい手のひら・中編【完結】
マンションの前で車を止め

「来週から仕事だから遅刻すんなよ」

「うん」

私を愛しそうに見る新くん

答えてあげれない私はどんな顔をしていればいいのだろう

「亜美」

「う、うん?」

「ごめんな」

私の頭を少しだけ撫で

「普通でいろよな」

すごく気を使っていることがわかるぐらい新くんは優しく私に言ってくれる

「当たり前じゃん」

だから私はいつものように笑って、私らしく答えたんだ

「じゃ、私帰るね」

「おぉ」

降りてすぐに窓が開き

「じゃ、来週な」

「うん」

そう言って新くんは帰って行った

私はまだ外に立ったまま、先程の出来事を思い出していた
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