やさしい手のひら・中編【完結】
新くんは私を見つめ、私も新くんを見つめた。そして私の顔に近づいて来る
顔を斜めに傾けながら、ゆっくり私の目の前まで来て、あともう少しで鼻と鼻がくっつくんじゃないかっていう所まで来ていて…
私は受け入れようって思った。だから目を閉じたんだ
「…」
でも、新くんは何もしなかった
「やっぱできねー」
そのまま私のほっぺたと新くんのほっぺたを重ねて
「投げ遣りでキスしても虚しくなるだけだよな」
耳元で新くんはそう言った
私もそうかもしれない。やけになってこんなことをしても自分が虚しいだけだ
「ごめんな」
私から離れて新くんは両手で私の両手を優しく包み込んでくれた
「何があったか話せるか?」
うん、と頷きさっき見たことを新くんに話した
「健太のマンションに行ったら…」
うん、うんと黙って話を聞いてくれている
「玄関で佐原樹里と抱き合ってた」
えっ、という顔で新くんは私の顔を見た
「嘘だろ?」
「ううん。ほんとだよ。目の前で見たから…」
「亜美はなんか言ったのか?」
「信じられないって言って逃げてきちゃった」
笑って言っているつもりなのに涙が私の頬を伝う
それを新くんが優しく親指で拭ってくれた
顔を斜めに傾けながら、ゆっくり私の目の前まで来て、あともう少しで鼻と鼻がくっつくんじゃないかっていう所まで来ていて…
私は受け入れようって思った。だから目を閉じたんだ
「…」
でも、新くんは何もしなかった
「やっぱできねー」
そのまま私のほっぺたと新くんのほっぺたを重ねて
「投げ遣りでキスしても虚しくなるだけだよな」
耳元で新くんはそう言った
私もそうかもしれない。やけになってこんなことをしても自分が虚しいだけだ
「ごめんな」
私から離れて新くんは両手で私の両手を優しく包み込んでくれた
「何があったか話せるか?」
うん、と頷きさっき見たことを新くんに話した
「健太のマンションに行ったら…」
うん、うんと黙って話を聞いてくれている
「玄関で佐原樹里と抱き合ってた」
えっ、という顔で新くんは私の顔を見た
「嘘だろ?」
「ううん。ほんとだよ。目の前で見たから…」
「亜美はなんか言ったのか?」
「信じられないって言って逃げてきちゃった」
笑って言っているつもりなのに涙が私の頬を伝う
それを新くんが優しく親指で拭ってくれた