やさしい手のひら・中編【完結】
夜になっても健太からの連絡はないままだった

もう本当に終わってしまったんだ・・・

一人になって気付く

健太が隣にいない寂しさ

もしかしたら連絡をくれるかもしれないという期待もあった

でもこう連絡がないとそんな期待も薄れてゆく。どんな状況でも連絡が欲しかったのに…

いっそ健太のマンションに押し掛けて…そんな勇気さえもなく時間だけが過ぎていく

私は携帯を握ったまま、ソファの上で眠っていた

朝、あちこち痛いことに目が覚めた

手を見ると携帯を握っていて、ゆっくり携帯を開いてみた

健太と私がピースをして写っている待ち受け画面

私も健太も笑顔

「いつ撮った写真だったかな…」

画面の上に一粒の涙が落ちた。画面の2人が涙で滲んでいる

「会いたい…」

指で画面を何度も拭き直して

「声が聞きたい…」

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