やさしい手のひら・中編【完結】
ピンポン、ピンポン、ピンポン

何度もしつこくインターホンが鳴った

「誰だろ?」

私は立ち上がり、インターホンの前に行き画面を覗いて見た

「…健太」

肩で呼吸をし、息を切らしている健太が立っていた

私は小走りで玄関へ行き、ドアのロックを解除すると、私が開ける前に健太が先にドアを開けて入って来て、その場で私を抱き締めた

「亜美…ごめんな」

耳元で私に謝り、またもう一度

「ごめんな」

と、謝った

私は健太が来てくれたことが素直に嬉しかった

でも聞きたいことがたくさんあって、それを聞くべきなのか聞いてはいけないのか迷っていた

「あんなメール来たから俺、焦って…」

メールをしたのは昨日の夜なのにどうして今頃ここに来たのだろうか。今まで佐原樹里と一緒にいたの?佐原樹里と一体何があったの?

甘い香りが私の鼻にツーンときた。あの時と同じ香水の匂いだった…

そしてあの日から私はこの匂いが大嫌いだった


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