やさしい手のひら・中編【完結】
「なんで一緒なの?」

目を見つめられ、私はパッと逸らしてしまった。それは自分にやましいことがあるから・・・

「何も・・・なかったんだよな?」

「うん・・何もない」

嘘をついた。やっぱりキスをしたことを言えなかった。私はずるいのかもしれない・・・

「そっか」

ちょっとだけホッとした健太の顔を見ると胸がズキッと痛む

「俺は佐原とは何もないから。絶対に・・・」

それを言われ、なんてことをしてしまったのかと自分が情けなくなる

健太を信じなかった私がすべて悪い

「佐原は俺がなんとかするから」

「うん…」

健太はそう言って私の頭をクシャクシャと撫でた

そんな健太の優しさに胸が痛くて苦しかった

健太はいつも通りに私に接してくれていた

「今日泊まって行く」

「うん」

嬉しいのに素直に喜べずにいた

「亜美?元気ないけど佐原のこと気にしてるのか?」

「ううん。もう気にしてないよ」

私の態度がおかしいと思ったのか、健太が心配している

「ほら、健太お風呂入ったら?」

「亜美も入る?」

「まだ入れないから…」

私はまだ流産の時の出血が続いていた

「じゃあ、俺入ってくる」

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