やさしい手のひら・中編【完結】
健太のマンションより、きれいな東京が窓一面に広がっていた

「すごーい」

部屋の間取りなんかより、私はこの窓から見える景色の方に気を取られていた

「今日ご紹介したマンションの中で一番景色がきれいなマンションなんですよ。川崎さんが第一に景色がきれいな所がいいと言われましたので」

私は男の人から健太に目を向けた

「亜美、窓から見る景色好きだろ?」

いつもこうやって私が喜ぶことをしてくれるよね

「ここどう?短大も近いし、何かと便利な場所だろ?」

「うん…でも…」

「気に入らない?」

「ううん、凄く気に入ったよ。でも家賃が…」

「あの、ここにします」

「ちょっと健太!」

「亜美が気に入ったなら、それでいんだよ」

だってここの家賃は物凄く高くて…

「契約します」

健太はその場で決めてしまった

「セキュリティも万全ですから安心ですよ」

男の人はそう言い、健太と入居のことを話していた

確かに素晴らしい景色だし、短大も近い。でも家賃を考えると申し訳ない気持ちでいっぱいだった

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