やさしい手のひら・中編【完結】
一体、いくつの部屋があるの?というぐらいたくさん部屋があり、私達2人が住むにはかなり広く、こんな素晴らしい部屋に住むなんて夢のようだった

「お引越しはいつにしますか?」

男の人が健太に聞き

「入れるならすぐにでも」

「そうですか。では会社に戻って契約の手続きをお願いします」

「わかりました」

健太が私の方を見て

「ほら、行くぞ。ここに住んだら毎日見れるんだから」

と言って手を差し伸べ、私は小走りで駆け寄り健太の手に触れた。そして私の手をギュッと握ってくれた

それから私達は不動産へ戻り、健太の印鑑一つで契約となった

帰りの車の中で

「楽しみだな」

「うん。でもね、あんな広い部屋2人で済むには広いんじゃ・・・」

「そうだな・・・でも景色いいし。あれは譲れねーだろ」

「うん・・・」

「俺、明日にでも亜美の親に電話入れるわ」

「どうして?」

「どうして?って、やっぱ一緒に住むんだし、ちゃんと言っておきたいし。亜美のマンションの解約もお願いしないとだめだろ」

「そうだね」

「明日オフだから引越しの準備一緒にしよう」

「明日休みなの?」

「そうだよ。亜美の冬休み中に引越しするぞ」

「うん」

健太は私との暮らしを楽しみにしているようだった

マンションの前に着いて

「明日、昼まで来るから」

「うん。待ってる。じゃ、明日ね」

私が車から降りようとすると

「亜美」

名前を呼ばれ私が振り向くと腕を掴まれ

「ンッ」

健太の唇と私の唇が重なり、そのまま深いキスをした

ゆっくり私から離れ少しだけ見つめ合い

「明日な」

そう言って健太は仕事に行ってしまった
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