やさしい手のひら・中編【完結】
次の日、健太が言っていた通り昼前に私のマンションに来た

「さっきお母さんから電話来たよ」

「あー、電話したからな」

健太はここに来る前に私の実家に電話をしていた

「お母さん、びっくりしてたよ」

「ちゃんと許してもらったから」

いきなり健太から電話が来て、お母さんはびっくりしたらしく、なんだろうと思えば同棲のことでまた更に驚いたと言っていた。お父さんもお母さんも健太をとても信用していて、逆に迷惑を掛けないようにって言われてしまった

「ここのマンションの解約もすぐしてくれるって言ってた」

「うん」

「よろしくお願いしますって言われて、なんか照れたよ」

「クスッ」

「なんで笑うんだよ」

「だって、照れることないのに」

「いやなんか、亜美をもらうみたいで」

「ほんとだね。お嫁に行くみたい」

「今すぐこのままもらいたい気分だよ」

そう言って健太は照れ臭そうにニコッと笑った

「よし、少しずつ荷造りしていこう」

「うん」

私は今週中に引っ越すことにした。これから毎日健太と一緒にいられることが嬉しかった

< 284 / 388 >

この作品をシェア

pagetop