やさしい手のひら・中編【完結】
「俺ら、これからツアー始まるんだ」

「うん」

「会えない日が続くと思う。亜美、耐えれる?」

「大丈夫」

「亜美の大丈夫は大丈夫じゃないんだよな」

「ほんとに大丈夫だよ」

「俺は心配だな。亜美が短大行ってなかったら連れて行くんだけど」

「毎日電話して。それだけでいいから」

「わかった」

「明日何時から仕事?」

「明日は10時までスタジオかな」

「じゃあ、私が先に短大だから健太自分で起きて行ってね」

「亜美起こしてくんねぇの?」

懐かしい。私がいつも健太を起こしていたんだ

「電話で起こしてあげるからぁ」

「電話かよ」

「もぉ、わがまま言わないの」

「亜美かわいい」

そう言っていきなり私に抱き付いてきた

「やっと俺だけの亜美になった」  

こんなにも愛されて私は幸せだった。もう失いたくない

このままずっと傍にいるんだ

そんなことを考えながら私は健太の腕の中で、深い眠りについた
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