やさしい手のひら・中編【完結】
授業が終わり重い足取りでスタジオまで来た

警備員にパスを見せ、長い廊下を歩き、控え室に入ろうと思った時だった

「亜美!」

私が振り向くと、そこには新くんが立っていた

ドキッ

「おぉ!元気だったか?調子悪かったんだって?」

「あっ、うん。もう良くなったよ」

「まだ顔色悪いんじゃね?」

私のおでこを触ろうとした新くんに

「だ、大丈夫だから」

私は思わず冷たい声で新くんの手を拒否してしまった

「ごめんね。私行くね」

目の前にあるドアノブを回し、私は急いで控え室に入ってしまった

そのままドアに寄り掛かり、こんな態度をとってしまった自分に腹が立っていた

新くんは何も悪くないのに…

コンコン

ハッ、としながら返事をした

「はい」

「久しぶりね」

田村さんだった

「今日もよろしくね」

「はい」

「なんだか具合悪そうね」

「そうですか?大丈夫ですよ」

「大丈夫なら良いんだけど、調子悪いなら言ってね」

「はい」

「今日は雑誌の撮影よ」

田村さんはそう言ってスタイリストさんを呼びに行き、すぐに戻って来た

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