やさしい手のひら・中編【完結】
そして

「これは俺らだけの秘密。健太にも絶対言うな」

「でも私・・・学校の友達に言っちゃって・・」

「そこで止めとけ」

「う・・ん」

「俺は・・・」

そう言いかけて私を見た

「お前が辛い時、悲しい時傍にいるから」

目がぼやけてくる。グッと唇を噛み締めて堪えているのに涙が目尻を伝い流れていく

どうしてここまで私に優しくするの?

私には健太がいるのに・・・

「私・・・私・・・」

「お前に健太がいるのはわかっているし、無理に奪おうなんて思っていない。ただ・・・亜美が辛い時とか悲しい時は傍にいさせてくれ」

「グスン・・・」

きっと健太と何かあった時って言うことだよね

でもね、都合のいい時だけ新くんに頼れないよ

「泣くなって」

そう言ってクシャクシャと私の頭を撫で、

「泣きやんだら帰るぞ」

うん・・私は頷いた

「お前らはそう簡単に別れることはないだろうな」

そう言ってちょっとだけ笑い遠くを見つめていた

「ごめんなさい・・私。新くんに何もしてあげれない・・・」

「今は一緒に仕事できるだけで俺は嬉しいんだけどな。だから気にするな」

そう言って新くんは車の方へ歩き出した

歩いて行く新くんの背中を見ながら私は心の中で何度も謝っていた

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