やさしい手のひら・中編【完結】
新くんは車の中で私をたくさん笑わせてくれた

そしてマンションの玄関前に着くと

「ずる休みするなよ」

「えっ?」

「亜美の考えなんてお見通し」

ずる休みばれてたんだ・・・

「ごめんなさい」

「もう俺を避けるなよ」

「はい」

「また仕事でな」

私は車から降り、

「送ってくれてありがとう」

「おお、じゃあな」

窓がだんだん上に上がっていく。半分ぐらいまで上がった時

「新くん、ごめんね」

そう言ったら、新くんは手を挙げてそのまま車は発進して行ってしまった

車の後ろをずっと私は見て、見えなくなってからマンションへ入った


部屋に入り脱落したかのようにソファに倒れ込み

「はぁ」

一呼吸し天井を見つめ今日一日のことを考えていた

きっと私が思っているより新くんは私のことを気にしていたんだよね

仕事をずる休みしたこともわかっていたし・・・

それなのに控え室の前で新くんを避けてしまった

キスのことを挨拶みたいなものだって言ったのも私が悩んでると思って・・・

すべて新くんの優しさなんだね・・・
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