やさしい手のひら・中編【完結】
教室に入ると、優香は顎に両手を置いてニヤニヤしながら私を待っていた

「亜美!遅いー」

「いつもと同じ時間だよ」

「どうでしたかぁ?」

「優香、朝から何そのニヤケ顔」

「気になるの」

「わかったから話すから。まず座らせてよ」

「どーぞ」

優香は私に椅子を引いてくれた

「健太くんは?」

「まだ寝てたよ」

「キャー」

優香は興味津々で私に聞いてくる

「昨日、夜来て泊まって行きました。その前に凌が来て、別れました」

「えっーなんでなんで?」

私は詳しく優香に話した。優香は

「これでよかったんだよ」

そう言って私の頭をポンポンと叩いた

「亜美幸せになるんだよ」

「ありがと。優香があそこのクラブに連れて行ってくれなかったら健太に会えなかった。ほんとにありがと」

「私が連れて行かなくても亜美達はまた違う場所で出会ってたよ」

優香は微笑みながら私に言ってくれた

10時ちょっと前に私は健太に電話をした

「起きた?」

「うーん」

「時間だよ」

「うーん」

「今日何時に終わんの?」

「4時ぐらいかな・・・」

「俺、今日徹夜になるかも」

「うん、わかったよ。頑張ってね」

「会えなくて寂しい?」

健太は私に意地悪そうに言った

「ぜんぜん」

「寂しいくせに」

「もぉ、いいから早く起きて仕事行って」

「電話するから」

「うん。じゃあね」

「おー」

他愛のない会話なんだけど、私は健太の声を聞くだけで元気が出るんだ

電話が終わり、私は授業を受けるため教室へ向った
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