やさしい手のひら・中編【完結】
「由里は坂下との同棲はどう?」

「うーん」

聞いた瞬間、由里がちょっとだけ苦笑いをした

「同棲って嫌な部分も見えちゃうじゃん。なんかそれがね・・・亜美と健太くんが一緒に住んでた時どうだった?」

「うーん、自分の時間がなくなるのは確かだよね。私はそんなこと気にしてなかったけど、健太が曲作りとかする時、私邪魔かなとか考えたことはある」

「なんかさぁ、だらしないし、何も協力しないし。がっかりかな」

「そうなんだ・・・」

「なんか比べちゃうんだ。祐介と・・・」

「由里まだ祐介くんのこと・・・」

「やっぱり忘れられ・・ないよ」

由里は我慢していたかのように泣き出した

「慎から亜美のこと聞いて、うらやましかった。私も戻れるなら祐介のとこに・・・戻りたい」

由里はポロポロと涙を流した

「会ってみる?」

「えっ?」

きょとんとした顔で私の顔を見た

「由里が会いたいなら、健太に言ってみるよ」

由里は下を向き考えていた

「どうしたらいい?」

「会うだけ会ったら?」

「・・・うん」

「無理には言わないよ」

「会いたい・・よ・・・」

私は由里に近づき由里の頭を撫でながら

「我慢しないで」

「う・・・ん」

きっと由里もずっと我慢したきたんだ。私はいつも由里に励まされたから、今度は私が助けてあげたい。そう思った
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