やさしい手のひら・中編【完結】
私の前に健太の車が止まった

普通に。普通にしてなきゃ

私はゆっくり車に近付き、車の後ろを通って助手席のドアを開けた

健太の顔を見ると

「心配したんだぞ」

そう言って私の頭をクシャクシャと撫でた

いつもと変わらない

そんな健太の仕草にホッとしていたら

「優香ちゃんは?」

「あっ、うん、帰ったよ」

「亜美」

ドキッ

「なんか隠してない?」

手に汗が滲む。私はばれないように

「隠してないよ。優香とはバス停で別れてきたし」

「…」

なぜか健太は黙り込んだ

「具合はどうなんだ?」

「もう大丈夫だよ」

「ごめんな。一緒にいれなくて…」

「ううん。すぐ良くなったから」

「新…ちゃんと見てくれた?」

「う、うん。見てくれたよ」

「頼めるの新しかいなかったから…」

「うん…」

何を言われるのかドキドキしてしまった

健太は私と優香が会っていたと思っているみたいで、私は一安心した
< 345 / 388 >

この作品をシェア

pagetop