やさしい手のひら・中編【完結】
マンションに着いて、晩ご飯を食べゆっくりくつろいでいた

でも私の頭の中は佐原樹里に言われた言葉が離れずにいた

「何、考えてる?」

「えっ、何も」

「さっきから亜美おかしいぞ。また具合悪いのか?」

そう言って私の額に手を当てた

「熱はないよな」

健太の優しさに私はイライラしてしまっていた

「大丈夫だから!」

つい大きな声を出してしまい

「あっ、ごめん。私、お風呂入って来る」

私はその場から逃げ出したくて走って洗面所に逃げ込んだ

「もう…イヤだ…」

佐原樹里に何も言い返せない自分に腹が立つ

あんな卑怯なことをしてまで健太と付き合いたいなんて…

そして健太に言えない辛さ

いろんな感情が私を苦しめる

つい健太に八つ当たりをしてしまった

私を心配してくれているのに…

鏡に映った自分の顔を見てみた

今にも泣きそうな顔

唇を噛み締めグッと堪えた

佐原樹里のために別れたくない…
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